グレゴリオ麺道　〜Red Stoneと麺類〜

本年も楽しみにさせていただいております！

おめでとうございます！
今年ですが、ダウンロードに時間がかかってしまい…参加できなさそうです。申し訳ございません。
参加したかったです…

今年の一月、飼い猫が亡くなりまして。
薄い色の三毛猫（仮にミケとしておきます）で、
およそ20歳（推定）の大往生でした。

亡くなるまでの数ヶ月、寝たきりになったミケは
痴呆症のような症状が出ていまして。
2時間に1回の頻度で、喚くように大きく鳴いては、
家族を呼び出して水や少しの液体おやつをもらったり
撫でてもらったり…という生活を送っていました。
しかも、猫語を習得している人間なんていませんので
何度も怒られながら、家族で世話をしておりました。

ミケが亡くなる前の前日、
「そろそろ（ミケの）お迎えが来てもおかしくない」
と姉から連絡をもらったため、
『生きてるうちに一目だけでも…』という理由で
妹が我が家を訪ねてきました。
やせ細った体を丸くして、
時折痙攣しては苦しそうに呼吸して、
それでも必死に生きているミケを撫でて
「がんばったねぇ」と妹は泣いていました。
そして、どうせなら最期まで一緒にいたい、
とのことで
妹は一晩、我が家に泊まっていくことになりました。

その夜、皆が寝静まった深夜に
ミケの例の発作が始まりました。
「ニャオ！ニャアアオ！」
そのただならぬ様子に妹は飛び起き、
（お迎えかもしれない）と泣きながら
狂ったように叫び続けるミケを撫でました。
「何かしてほしいことある…？」
と、妹が涙まじりの声で聞いた時です。

「水」
と、不機嫌そうな答えが返ってきました。

妹は固まりました。
「水」という答えが返ってくる間際、
ミケがピタリと鳴くのをやめたんだそうです。

『ミケが答えたの…？』と妹は思ったのですが、
それにしては聞き覚えのある声です。
まさかと思って隣を見ると、

スピスピ鼻息を立てて寝ていた私が、
妹とをジッと見てたそうです。

「水。スポイトでやって」
と、私が妹にはっきり伝えた、らしかったです。
寝起き特有の、不機嫌な声で。
妹が戸惑いながらも、
シリンジ（注射器）に入れた水を用意していると、
また、私が言ったそうです。
「おやつ、溶かして。少しだけ」
その間、猫はシンと静かにしていました。

言われた通りに液体おやつを少し溶かした水を
ミケに与えている間、
私はじぃっと、妹を見続けていたようで。
水を与え終わった後、私は満足そうに頷いて
「ありがとう」と礼を言って、
また寝床に入ってスピスピ鼻息を立てて寝たそうです。

とまあ、それだけのお話ですが。

飛行機の駆動音もかくや、という大音声にも関わらず
ミケが鳴いていても誰も起きてこなかったこと、
私が指示を出している間、
ミケがピタリと鳴くのをやめていたこと、
ミケの世話をする妹の一挙手一投足を
私がじいっ、と微動だにせず見つめていたこと、
そして何より、

私はそんなことをした覚えがないこと。

それだけをお伝えしおきます。


多分、最後に甘えたかったんでしょうね。