え〜
現時点で書き上がっておりません。
というわけで、確保のための更新です
グレゴリオの小説の書き方で
シーンシーンのパーツだけ書き上げて
後でくみ上げるってのがあります
ええ、組み立て中です。たぶん
組みあがりました。
アレですよ。組んだ部分に隙間が多すぎて
もう大変でしたが何とかアップできました。
で、次回ですが。
多分、小話挟まずにミルさんかな。
小話思いついたらそちらかもしれないけど。
RS小説「帰り道の途中:幸せの小道(仮)」5/5
「エントリー8番、出品者、RG商会。品目は当日発表、予想落札価格不明、スタート価格不明」
リュウインズはオークションのパンフレット読み上げると、ゆっくりとそれを閉じた。
「つまりこれを彼らは盗みにくると」
「ちがいます!」
レモは大きな声をあげた。
「ようし! 奴らがオークション会場にくるのは、わかった! 明日の当日には取っ捕まえてやる!」
「このわからずやー!」
「お嬢ちゃん、君は騙されているんだ。おい、緊急配備を敷くんだ! 奴らを決して逃がすんじゃない」
リュウインズにそばにいた兵士が話しかける。
「ですが、こんどのチャリティはブローム議員の主催ですよ。オークションを台なしにしたらまずいですよ」
「ムムム、奴らの狙いはそこか。だが、奴ら逃がさんぞぉ!」
「だーかーらーっ!」
レモの叫び声は響いたが、リュウインズたちには届いていないようだった。
「よくもよくも、のうのうとオークションに顔を出せたものだな」
ジャックは怒った表情を隠さずにオークションのパンフレットを破り捨てた。背の高いすらりとした女傭兵が破られたパンフレットを手早く片づけながら言った。
「ダニエルズ警備保障としても、このままですと、看板に傷がつきます。いまのところ噂になっていないとはいえ、この件が外に漏れたら」
「分かってる。だから、オークション会場で奴らを捕まえてやる!」
ジャックがいらいらして机をたたきながら、そう怒鳴り散らした。机の下から、ひょこっとニャルラが顔をだして言った。
「アンまり怒るト臭いガひどくナルよ」
「黙れ」
レモはリュウインズの説得ができないままに、自分の旅支度をと唱えなければならない時間になってしまった。宿屋に戻ると、ミルはほとんどの旅支度を終えたところだった。ハノブへ帰るということが、急に目の前にきたような気がした。
「レモ、誤解は解けた?」
姉の声は相変わらず優しかった。レモはただ力なく、首を横に振ることしかできなかった。しょげ返ったまま、ベッドに座った。
「レモ」
姉の口調が少し厳しくなった。彼女が顔を上げようとしたところに、額を笛でびしりと打たれた。
「みぃっ」
「行きなさい。レモ」
「でも」
「私なら大丈夫。一人じゃないから。ハウルもグロウルもいるから。大丈夫」
「でも、あたし」
「レモ、愛してる。私の可愛い妹。それは変わらないから」
「ミル姉」
レモは姉に抱きついた。涙をこらえたが、こらえきれずに溢れ出した。ミルの細い腕が妹の身体を優しく包みこんだ。
「レモ、これが機会だから、旅をして来なさい」
姉の言葉にはどこか冷たいものを感じた。
次の日の朝はよく晴れていた。秋から冬にかけての日々の数少ない暖かな一日だった。レモは姉とネスの二人に別れを告げてから、冷えた石畳の上を歩き始めた。大またに、上を向いて、涙をこぼさないように。
「とにかく! あたしがあのふたりの潔白を証明しなきゃ!」
オークションの会場は古都の歴史のある教会であった。そこに、主催者のブロームをはじめとした共和国の議員や、商人、司祭や僧侶など名だたる名士が続々と集まってきた。
その中には、ジャックの姿もあったし、警護を厳重にするとの名目の元でリュウインズと兵士たちが詰め掛けていた。もちろん、ジャックもリュウインズも、二人を部下に古都中探させたが、見つからなかった。部下の中にはもう古都にはいないという話は多かった。しかし、ジャックもリュウインズも絶対、オークションには現れるという言葉を曲げようとはしなかった。「なぜ?」という部下の問いに対しては、二人はまったく同じことを言った。
「そういうやつらだ」
オークションは始まり、1番2番と順序は進む、だんだんと会場は熱を帯びてきた8番目のエントリーが読み上げられた。
「続きまして、エントリー8番の商品、RG商会さんのお二人から、商品の説明がございます」
二人はこともあろうか舞台の上から降りてきた。降りてきたという表現が合うのは、バドのほうだけだった。バドはふわりと地面に降り立つと、手にしていたきれいにラッピングされたものを静かに台の上に置いた。ハインはそれこそ地響きのような音を立てて落ちてきた。両足でしっかりと衝撃を受け止めた後で、司会の女の子にマイクを渡すように手を伸ばした。二人はどこで着替えたのか上等のタキシードに身を包んでおり、ひげもきれいかりそろえられていた。あまりにも破天荒な登場の仕方に、会場は驚きざわめいた。ジャックもリュウインズも部下が飛び出しそうになったのを抑えた。
「しーっ」
場に流れたのは、マイクを通して響く、ハインの声だった。その声が群衆の耳へと届くと、会場は静けさを取り戻した。
「淑女紳士の皆さん。準備はいいか?」
ささやきかけるような声で、そう言った。
「さあて、RG商会のハイン・グリュンと……」
「バド・レッドバック、お見知りおきを」
「この二人が品物を紹介する前にルールを確認しよう。このチャリティーオークションの売上の二割が教会の寄付金になる。そうですね、サー・ブローム」
最前列に座った太った男が満足そうにうなづいた。それをみて、バドがハインの手からひょいとマイクを取り上げた。
「RG商会は、残りの売上全部を今から読み上げる孤児院に寄付します。えーっと、アリアン戦災孤児院、イエローブリック教会付孤児院、青十字騎士団付孤児院、博愛孤児院、ハノブ鉱山付孤児院、シュトラ海難保険組合付孤児院、以上の六つの孤児院です。知ってらっしゃる方も多いと思いますが、どれも、建物の立替が必要な孤児院です」
会場から割れんばかりの拍手が鳴り響いた。そのあいだにバドはハインにマイクを戻した。
「ありがとう。その前に商品の説明をしよう。これだ」
ハインの合図とともに、包み紙がバドの手によって解かれた。台の上に姿を現したのは、真っ黒い箱だった。それが何か、この場に来ている大体のものは理解した。ざわめきがおこりはじめたときに、客席から一人の男が立ち上がった。ジャックだった。
「貴様ら、それは!」
「お、どうしました。ダニエルズ警備保障の社長さん」
「そいつは」
顔を赤く染めて、睨みつけるジャックに他の客たちが騒ぎはじめた。ジャックも周りの視線が気づかないわけではない、ぐっぐっとのどを鳴らしてから、搾り出すように言った。
「気前がいいなぁ」
「だろう? だが、おまえさんも芝居がへただ。黙っておこうかと思ったが、まあ、それは俺たちの心が痛むんだ。なあ、バド?」
「まったく、人がいいというか、悪いというか……。まあ、俺たちはちょっとこういうことは、口が滑りやすいタチだから。正直に言おう」
ジャックの顔が紫から白くなるのを見ながらハインは喋りだした。
「この魅惑の黒い箱をこのオークションにとだしてくれたのは、そこにいるジャック・ダニエルズだ。孤児院のことを話すと、快くポンとだしてくれたのは、彼だ。俺たちだけおいしいとこどりってわけには、いかねぇや。今日の一番のヒーローはジャック・ダニエルズだ! 皆さん、彼と彼の慈愛に拍手を!」
会場全体が沸き返るような拍手に包まれた。ジャックは上機嫌のふりをして、会場全体に手を振らなければいけないはめになった。ひとしきり、拍手が終わり会場がオークションに注意が行ったときにジャックは横に座っている長身の女傭兵に耳打ちした。
「今日のところは、無理だ。解除しろ」
彼女はこくりとうなづくと、すっと席を立った。
「結局、8億2千万か。とすると、ひとつ当たり1億と9百万」
「バド、計算がはやいな。それだけあれば問題ないか」
控え室に下がってから、二人はゆっくりとソファに腰をおろし、僧侶が持ってきたワインを飲みながら、のんびりと話していた。急に扉が開かれて、少女が駆け込んできた。
「何くつろいでるんですか!」
「なんだ。姉ちゃんとハノブ帰ったんじゃないのか?」
「そんなことよりも、リュウインズさんたちが捕まえる気満々なんですよ!」
「あー、そのことなら大丈夫だよ」
バドはにっこりと笑った。少女には分からなかった。ただ、バドがあまりにも自信たっぷりなので何も言えなかった。
「本当に大丈……」
再び扉が勢いよく開かれて、リュウインズを先頭にした市警隊の兵士たちが部屋に入ってきた。
「追い詰めたぞ! おとなしく逮捕されろ!」
「あああ、ほら。もう」
レモがおどおどしながらそういったが、ハインとバドはゆっくりとワインを飲んだ。ゆっくりとした口調でハインが聞いた。
「何の罪だい? だんな」
リュウインズは鼻を鳴らして言った。
「誘拐と人身売買だ!」
「レモ、そうなのか?」
バドがやわらかく言った。
「ちがいます。でも、リュウインズさんが聞いてくれないんです!」
「ムムムゥ……。公務執行妨害と傷害だ! 言い逃れできんぞ!」
市警隊の後ろからひとりの兵士が間を縫うように出てきて、リュウインズに何事かを耳打ちした。それを聞くと、彼は鼻の頭をぴくぴくさせて、こう言った。
「貴様らに恩赦が出た。多額の寄付金のおかげでな」
バドはにっこりと笑って言った。
「旦那、ご苦労様。こんど一杯飲もうよ」
「もう二度と古都にくるな」
「あら、つれない」
また、市警隊の後ろから大慌てで、ひとりの兵士がやってきた。
「大変です。この前捕まえた、ヒープ一味が全員脱走しました!」
「なんだとぅ!」
リュウインズはバドとハインを見たが二人とも、少し肩をすくめただけだった。
「ええい! すばやく非常線をはれぇい! 逃がすなー!」
どたどたがちゃがちゃと騒がしい音がひとしきりした後で、部屋の中は三人だけとなった。
「で、姉さんはどうした?」
「ハノブに帰った。あたしは旅をしなさいって」
「ふーん。じゃ、すると何か? お前ついてくるつもりか?」
「うん!」
ハインは助けを求めるように、バドを見た。彼はさも楽しそうにくっくっと笑っていた。
「しゃあねぇか。ったく」
「そうと決まれば、早いところでるとしよう。ジャックはしつこいから」
「まったくだ!」
「やっぱり、悪いことしたんですね! ダメですよ。神様は……」
説教を始めようとするレモにハインはこういった。
「悪いな。酒の神と女神様以外は信仰の対象外なんだ、俺」
……終わり
えー、帰り道の途中の今回のエピソード終わりましたが題名(仮)のままです。なんだよ、「幸せの小道」って一言も出てきてないw
というわけで、タイトル募集中です。
書き込むなり、耳メテオなりでお願いします。
オークションシーンでの司会の女の子はもちろんリトルさんです。で、このシーンはやっぱりマイクが必要だなって思い、マイクって言ったらリトルさんですから。
さて、ハイン・グリュンとバド・レッドバックですが、名前の由来は、ビールのハイネケンとバドワイザー、ハイネケンのイメージカラーが緑で、バドワイザーが赤なのです。このコンビは大好きですが、ちょっとバドさんが目立ってないかな。このコンビのモデルはアメリカンプロレスの伝説的タッグチーム「D-Generation X」のお二人と、ブルースブラザーズ。結構いろんなところに、パロディを入れてみましたよっと。
ミルさんがレモに行きなさいというシーンで、「ハウルとグロウルがいるから」っていうシーンで書かなかったけど、絶対ネスは「え、俺は?」って思っているはず。不憫な奴w
リュウインズさんはやっぱりイメージとして銭形のとっつぁんですね。絶対、そのうち「たいほだぁ~」とやってきそうです。
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