先月末に、白鯖をたゆたっていると
叫びしている人で、お名前が非常にイカす人をお見かけしました。
思わず耳しましたよ
「廃坑秘密ではないですが、スーパーボウル楽しみですね」
その後、NFLの話で盛り上がりました。
ええ、NFLの有名QBのお名前でした。
なんで、スーパーボウルどころかプロボウルまで終わってからこの話題をするのかというと。
今日たった今、スーパーボウルの録画を見ていたからですよ
今年も白熱した試合でしたが、どうあがいてもNFL見ている人って、レッドストーン内ではマイノリティ中のマイノリティです。
そして、グレゴリオ麺道も基本的というか根本的にマイノリティです
RS小説「帰り道の途中:幸せの小道(仮)」4/5
レモは、ハインとバドは人攫いではないということを警備隊長のリュウインズに、何度も、何度も話したが、うまく説得できたという感じではなかった。何度もうなづいてくれたものの、レモが繰り返しただけの「君はだまされているんだ」というせりふを聞いた。レモが喋りつかれてきたときに、衛兵の一人が、ミルがきていることを告げて、姉が泊まっているホテルへと連れて行ってくれた。
レモはミルを一目見て後悔した。姉の顔は青ざめて、桜色の唇は紫色になり、泣き腫らしたのか、目は赤く充血していた。レモの姿を見るなり立ち上がったが、すぐによろけて、そばにいた剣士と彼女のファミリアたちが支えた。姉の手が震えながら、レモの身体を包む。そしてしっかりと妹を抱きしめたところで、震えはとまり、大きなため息が口からもれた。
「ごめんなさい」
レモは涙まじりの言葉でそう言った。姉は何も言わずに、ただ彼女の髪を撫で続けていた。しばらく、そのままだったが、ゆったり二人は離れた。
「レモ、よかった」
ミルはそう言うと崩れ落ちるように倒れてしまった。レモが慌てて抱きしめると、姉の身体は酷く熱かった。
「大変、ハウル、グロウル」
レモがファミリアの名前を呼ぶと二匹は駆け寄ってきて、ミルの身体を支えた。そして、剣士が彼女を抱え上げてベッドに運んだ。
「あれ? ネスさん居たんだ」
「心配だから一緒にきたんだ。まだ怪我が治ってない」
ネスの言葉で、またレモは締め付けられるような気持ちになった。
「本当にごめんなさい」
ミルは静かに微笑んで、心配そうに顔をのぞくハウルの頭をなでていた。
「で、君をさらった悪党はどんな奴だ。このネスがやっつける!」
ネスがこぶしを固めて高らかに宣言をした。
「無理だと思う。それよりあの二人は悪い人じゃないよ!」
「無理? どうい……」
ネスの言葉を遮るように足元にずずんと衝撃が走り、建物がゆらゆらと揺れた。
「みひゃあっ!」
レモはびっくりして、飛び付いて来たグロウルに抱き着いた。ハウルはベッドにしがみついた。ネスは扉も開けずに飛び出そうとして、派手な音を立てて扉にぶつかって転がった。ゆっくりと揺れが収まると、くすくすと笑うミルの声がした。
「結構ゆれたけど、みんなあわてすぎよ」
暗く静かな地下水路に、足音が一つ、二つ、三つと響く。三つの人影が暗い地下水路の中を歩いてゆく。カンテラの明かりがゆらゆらと揺れるたびに、長い影法師が亡霊のように石組みの壁に揺れる。
「ここだ。ヒープ」
ハインは錆のまわった扉の前で足を止めた。
「はいはいっと。またえらく錆びた、お? こりゃすげぇ」
「開けれるか?」
「そいつは野暮ですよ。旦那。しかし、錆で開かないと見せかけて、実は生きている。凝ってるね。こんな手間かけたことするお大尽って誰なんで?」
「ダニエルズ警備保障だ」
ピクッとヒープの肩が動いた。
「えっ。あ、あのダニエルズですか?」
バドは杖をこつんと音を立てて地面に突き刺した。
「降りるかい?」
「まさか! でかい相手に驚いただけさ。で、旦那はダニエルズに喧嘩売ってどうするんです?」
「べつに喧嘩じゃない。ただ、寄附したい孤児院があってな」
それを聞くとヒープはヒヒッと短い笑い声をあげた。
「そりゃいい。楽しくなる」
ヒープは腰から道具を出すと、扉に取り掛かった。鮮やかな手つきで道具を扱って、すぐにカチンと音がした。
「開いた。擬装はうまいが鍵は三流、ヒープ様にかかりゃ……」
「いい腕してるのになんでまた盗賊になんてやってんだ」
「ははっ。最初はいろいろと調子よくやれたんですけどね。気が付くと鍵じゃ食べていけなくなって。色々やって、あがいてるうちに似たような連中でつるみはじめて、後は気が付いたらってやつです」
ふうんと、ふたりは頷いた。
「ま、よくある話ですよ」
ヒープは寂しそうに微笑んだ。そして、扉を開けると、思ったよりも静かな音で扉が開いた。扉の向こうは小部屋になっていて、さらに扉を開けると廊下だった。そして、向かいの扉は、趣味の悪い金ぴかの扉で、堂々と『宝物庫:ジャック専用』と書かれていた。
「あいつ、アホだろ」
ハインが半ばあきれながら言った。
「あきましたぜ」
ヒープはすでに仕事を終わらせていた。宝物庫の中はきちんと整理整頓され、棚には数々の武具や、鎧、指輪などがきれいに陳列されていた。そして、真ん中にはテーブルとソファがおかれている。
「ここに腰掛けて、ニタニタしてる間抜け顔が浮かぶな」
「ああ、相変わらず馬鹿で、成金趣味だ。おい、持って行くのは一つだ。寄付していただくだけだから、根こそぎやるとまずい」
ヒープがにやにやしながら、棚を見ていたが、そのハインの一言に早速手の中におさめた指輪を元に戻した。しばらく、三人であれこれと探していたが、バドが一つの宝箱を開けると、ハインを手招きした。
「おい、ハイン、これを見ろ」
そう言って、バドは箱の蓋を少し開けて相棒に見せた。
「ちょうどいいな。よしこれに決まりだ。引き上げるぞ」
そう言って、扉のほうを見ると、鉄の仮面を被った小さな人影があった。皆が気付くと器用に仮面の鉄格子ごしにクッキーを口の中にほうり込み、無邪気な口調で喋った。
「ナニしてるのー。しらナイひとー」
「ネクロだ。どうする?」
ヒープが緊張した声でバドにささやく、魔術士もしまったと表情を浮かべた。だがハインはずかずかとネクロマンサーに近付くとどこからか飴を取り出して渡すと、こう言った。
「お兄さんたちは泥棒だよ。分かったら、ジャックに“ありがとう”とひとっ走りして伝えてくれ」
「えー、ジャックっテ、ボスのジャック? 臭いカラやだナ」
「あいつワキガだからな。鎧の隙間から臭いがもれてるんだな」
「ジゃ、伝えてくるネー。ワキガのジャックにゴ報告ー」
ててっと、小さい人影が扉の向こうへ消えていった。
「さぁ、逃げよう」
三人は宝物庫の扉から出ると、廊下の曲がり角の向こうから声が聞こえてきた。
「あれ? ニャルラ、どこいくの? まだ、掃除終わってないわよ」
「ワキガのジャックへ、伝言スルのー」
「ワキガってみんな分かっているけど言わないんだから、あれでもマスターかなり気にしているんだから言っちゃダメよ」
「デモ、泥棒さんガ、伝えロってサー」
「泥……棒?」
「泥棒さん、宝物庫イタよ」
「大変、みんなを呼んで来て!」
三人は顔を見合わせて、侵入してきた扉の部屋に飛び込んだ。入った瞬間に、エプロンをつけて、箒とちりとりを持ったロマの娘にばったりと出くわした。
「え?」
彼女はなにがなんだか解らないというように目を丸くしていた。
「えーっと、下水には問題ありません。トイレットペーパー以外は流さないようにしてくださいね。後で請求書をお送りしますのでよろしく」
バドはとっさにそう言うと、ロマの娘は「はぁ」と間の抜けた返事をした。ハインが入ってきた隠し扉を抜けようとした時に、後ろの扉が勢いよく開かれた。
「大変よぉ! 姉さん、泥棒が……」
沈黙の時間はそんなに長くなかったに違いない。後からやってきたロマの娘の叫び声に三人とも耳を塞いだ。
「ふっふっふっ、間抜けな泥棒さん。このエッセンス姉妹と出会うなんて! 姉さん召還獣を!」
後ろのロマが勝ち誇ったように言う。しかし、姉の言葉は彼女の希望を絶つものだった。
「今、笛持ってないよ?」
「じゃ、じゃあ、あたしのこのかわいいペットたちが相手するわ!」
そう言って、どこから出したのか、片手に本を何冊かもって得意げに笑った。
ぱしっ
彼女の大切な本はヒープの手の中にあった。
「ダニエルズの連中はそろいもそろって馬鹿ばっかりか」
ハインが指を鳴らしながらそう言った。
三人が地下水路を走り出した。すぐに後ろから大勢の人の声が聞こえだした。右へ左へと出口を目指して、走り続けたが、出口の手前できらびやかな鎧の男が立っていた。
「そこまで間抜けじゃないんだね」
バドがそうつぶやいた。その男は料理屋で彼らを小馬鹿にしたジャックその人だった。
「また、お前らか!」
怒りに震えた声でジャックが大声を上げて、同時に剣を抜いた。
「まあ、待ちやがれ」
ハインが穏やかな声を出す。
「待っても、状況は悪くなるぞ。後ろからわたしの部下がやってくる」
声は怒りに震えているが、確かにその通りだった。足音がせまってくる。バドは袋の中から、さっき盗んできたばっかりの宝箱を取り出した。そして、しずかにふたを開けた。
「なあ、ハインこれを見てくれ。どう思う」
「ワァオ。久々に見る黒いやつだな。すげぇや! じゃあ、ここにさっき拾った草履とはきつぶした革の靴を入れたらどうなるんだろう!」
「とんでもないことになるだろうな!」
「じゃあ、早速やってみようか!」
そう言うと、バドはぼろぼろの草履を箱の中に入れた。
「やめろぉおお!」
ジャックの叫びが、水路内に反響しながら消えていった。
「貴様らそれがいくらか解ってるのか?」
「野暮チンなこというなよ。知らなきゃ盗らねぇよ」
ジャックの顔が見る見るうちに紅潮し、それを通り越して紫色にまでかわった。
「だがな、ジャック。ここであんたとやっても勝ち目はない。そこでだ。この箱を返すぜ。代わりに逃がしちゃくれねぇか? いやだっていうなら、この靴を入れる。そして、大暴れだ」
そう言うと、穴の開いた靴を箱の上にかざした。
「いたぞぉお!」
三人の後ろからわらわらとジャックの手下たちが現れた。ジャックは手で彼らたちを手で制した。
「確かにお前らを相手にすると、こっちもただじゃすまん。その取引のった」
「賢いねぇ。じゃあ、下がれよ」
ジャックは後ろに下がり、出口への道をあけた。バドは箱の蓋を閉めて、ゆっくりと前に出る。彼らが前にでるたびに、後ろからジャックの部下たちが、距離を保ちつつ前に進む。
ごとん
箱が地面におかれた。
「じゃあ、確かに返すよ」
バドはそう言うと、にこやかに微笑んだ。それと同時に三人は出口に向かって走り出した。ジャックの部下たちは三人に向かって、走り出した。出口の手前でバドは振り返って呪文を唱えた。
地面の下から突き上げる振動とともに、地下水路全体が地響きをたてて揺れる。何人かは足を滑らせて、汚水の中に落ちたり、転んだりした。しばらくすると、地響きは収まり、三人が逃げた出口は、がれきで埋まっていた。
ジャックはそんなことはおかまいなしに、宝箱をゆっくりと取り上げて、ほっとため息をついた。そして、留め金を外して、箱を開けた。
キチチ……
箱の中には、黒い大きな蜘蛛がぼろぼろの草履の上に陣取って、ジャックを見上げていた。
「あいつらぁああああ!」
誰よりも大きい叫び声が地下水路内に響いた。
……続く
ええ、ジャックさんのフルネームはジャック・ダニエルズですよ。
そして、ニャルラさんのフルネームはニャルラ・ホテップです。
最後にエッセンス姉妹は姉(サマナ)がチョコで、妹(テイマ)がバニラです。
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